開業された先生のご感想
高仲循環器クリニック
院長 髙仲 知永 先生
自分の望む診療の追及
仕事の面で私は若手と一緒になって患者さんと接してやるのが好きで勤務医の間はずっとそうしてきました。
しかし、病院というところはある程度の年齢になるとどうしても管理職としての仕事のウェートが増してきて思うに任せない状況となってきます。
自分としては若手の循環器医の育成にも自分の仕事を通して努力してきたつもりで、実際多くの循環器医が現在しかるべき病院で大いに活躍しています。
私が勤務していた病院でもしっかりした若手が育ち患者さんにとって充分診療レベルを落とさずにやっていける環境が出来たと感じたので、そろそろ次世代に引き継いで、自分自身は新しい仕事環境を求めていってもいいのではないかと考えました。
また、病状が悪くなってから来られて対応するという病院で、もっと早い時点で予防治療が出来たらこんなことにはならなかったはずという人をたくさん見てきた経験から、予防という観点からの医療がより重要であるという気持ちが以前よりあり、新しい仕事環境では医療へのアプローチを予防へと根本から変えて実践してみたいという強い意欲もありました。
まあ、組織というストレスに妨げられることのない自分の城を構えて、患者さんの先の先の病態を理解したうえで、その予防というアプローチを行うという選択をしたわけです。
付け加えるのなら、通常診療所というレベルではできなかった冠動脈疾患、血管疾患の確定診断を可能にするマルチスライスCTという革命的な医療器械が使えるようになったというのも一つのきっかけです。それを有効に活用すれば、大きな総合病院と同等レベルでむしろ効率的な循環器診療が可能になると判断したからです。
予防とは単に薬を出すということではありません。その患者さんがどの程度の病態であるか?という観点で、検査などの数値はもとより、CTやエコーでの画像診断に基づいた病態評価を確実に行い、その病態を患者さんと共有することで病識をしっかり持ってもらい予防の必要性をまず理解してもらいます。
そして、継続的に治療効果を検証しながら有効な治療を進めるということだと考えます。そのようなことは大きな病院ではなかなかできなかったことだと思うのです。私としては、そのような医療にチャレンジしていこうと思うわけです。
幸いなことに、能力のあるスタッフが揃ってくれ頼もしいかぎりです。
ある意味、好きな形で自分が思うような診療が出来ることは組織の中と違い、仕事という観念がなくストレスをあまり感じないということですね。
わかりやすく言えば、やるべき姿で普通に出来るということが大事ということです。
あとは、そういった考えに対し、まずは自分でインターネットを検索するとか機器の展示会に実際に行くとか、そして既に開業なされた先生と意見を伺うとか、まずはビジョンに対して自分なりに実際的なアプローチを少しずつでも行うことが大事です。そして現実的な大まかなプランを自分なりにたてることです。自分も勤務しながらで大変でしたが、方針が決まってからはかなり積極的に動いたつもりです。
始めから、「開業したいのだけれどどうしたらよいのか」というふうに相談してしまうとおそらく自分の進む方向がどんどんずれていってしまうと思いますね。
とにかく、時間を惜しまずいろいろ相手をかえて相談してみることです。そのように考えるのが良いのではないかと思います。
今後、診療所として、または御自身の診療として目指すことは何ですか?
しかし、自分のやりたいと思った診療はほぼ理想的に出来ていますし、循環器専門という特殊なクリニックにもかかわらず当クリニックの特色を理解した患者さんに確実に受け入れられていると実感できるようになりました。
よく、開業すると患者数増加に躍起になると言うような話を耳にしますが、経営的には非効率であっても自分のやりたいと思っている診療の質を落とすことなく実践することこそ、自分が開業した意義があると考えています。
当院の診療方針を理解して本当に自らを治そうとしっかりした考えを持つ患者さんを、しっかりサポートしていくクリニックであり続けたいと思います。
今以上に手広く多角的にやるとか、他の仕事を始めるとか、あるいはやみくもに患者数を増やそうなどという考えは一切ありません。
余裕が出来たなら、むしろ今やっていることを洗練させ、さらに奥の深いもの、質の高いものに持っていくことにあてたいと思います。あるいは、病院時代にはないに等しかった“自分の時間”を大切にしたいと思います。
私は、漠然とですが、フィーリングが合うという感覚が大事だと思います。
自分がイメージしているものと同じ様なものを持っているか?人間的にも雰囲気も同じ様な匂いを感じる人と作業を進めていくことが大事なポイントだと考えます。
私の場合、クリニックの設計段階で設計プランをいくつか出してもらいましたが、豊橋市の谷山設計の谷山社長と設計士の簑島さんとは初対面から大いにフィーリングというか人間的な感性が合い、結果的に出来上がったクリニックもまさに期待通りのものになりました。
建設に関しては、旭建設さんの外山豪昭社長の熱意と誠実さのある対応と、医療関係者の間での評判を聞いて決めさせていただきました。本当に、建設には誠実さを感じることがポイントですよ(笑)。
それでは、お忙しい中インタビューにご協力していただきありがとうございました。
これからもご自分の理想の医療に向かって頑張ってください。